(この記事は2022年2月24日に更新されました)
「サイト改善で思うような成果が出なくて、行き詰まっている」
この記事は、そんな課題を抱える小さな企業のWeb担当者の方、マーケティング担当の方に向けて書いています。
皆さま、こんにちは!
静岡県富士市のホームページ制作・改善専門アリカタ代表、よっしーです。
今回は、僕がサイト改善のお手伝いをさせていただく時、意識しているポイントをチェックリストにまとめてみました。
これまで僕が支援してきたサイト改善の現場での体験がベースにあるので、当てはまらない項目もあるかもしれません。
しかしながら、共通して活用できるサイト改善の打ち手もあると考えています。
サイト改善に行き詰まりを感じている方のヒントになれば嬉しいです。
目次
サイト改善とは「サイトを改めて善くする」ことです。
「よい」は主観を多く含むため、人によって定義が異なることが多いです。
なのでサイト改善を始める前に、よいサイト(ホームページ)がどんな状態を指すのか具体的に定義します。
チーム内や社内で認識を合わせてからサイト改善をはじめることで、事業に良い影響をもたらしやすくなります。
山登りに例えると、どこに登るか「目的地」を決めて旗を立てることです。
僕たちの場合は、ジェス・ジェームズ・ギャレット提唱のUX5 階層モデルに基づいて、 5つの階層を満たすホームページを「よいホームページ」と定義して、サイト改善に取り組みます。
すなわち、ホームページを訪れた顧客のニーズ(欲求)を満たし、同時に、事業上の目的(役割)も果たせている状態を「良い」と定義します。
ちなみに「表層」のみに着目して改修を行い「良くなった」と判断し、事業課題の解決につながっていないと感じる企業さんがまだまだ多い印象があります。
WACUL社の研究レポートでも表層的なリニューアルは成功確率が低く、コンテンツや構造の見直しを検討すべきと提言しています。
(参考記事 :WACULテクノロジー&マーケティングラボ「Webサイトはリニューアルによって改善するのか?WebサイトリニューアルとCV・CVR向上の相関関係についての調査」)
サイト改善の目的、目標数値、目標をいつまでに達成したいかを、とことん具体的します。
ホームページで達成すべき目標数値を決める際は、経営・事業の課題、目標数値(利益や売上)から逆算することが大切です。
ホームページだけをながめて目標を決めると、事業とあまり関係の無い目標を定めてしまいがちだからです。
また、目的・目標を決めたら、関係者間で丁寧に共有し、目線を合わせることも大切です。
マラソンに例えると、スタート後のペース配分は、ゴールまでの距離や道程をもとに、スタート前にある程度決めておいた方が良いでしょう。
目的を決めずに、ひたすらブログ更新や改修をくりかえすホームページは、ペース配分を考えずにひたすら走り続けるようなものです。
そもそも何を目的とすべきか分からない場合、目的と目標数値を決めるところから相談できる制作会社を探すことが第一歩かもしれません。
顧客の消費行動(購買プロセス)を図に描き、その中でホームページの果たす「役割」を定義します。
消費行動とは、商品を知ってから、ホームページやSNSなどを訪れ、問い合わせ・購入にいたるまでの一連の行動です。
図示の方法は色々なフレームワークがあり、おすすめの方法は平岡謙一さんが提唱している「サイト集客マップ」です。
(参考記事:2時間でマーケティング施策の全体像を可視化する「サイト集客マップ」とは?)
「日常生活(認知)、初回購入(連想)、継続購入(ロイヤルティ)」の3ステップで考えると良いでしょう。
慣れないうちは、文字と矢印線でつなぐだけの簡易な図でかまいません。
ちなみにこの段階で、「改善の余地がどのくらいありそうか?」、課題を解決した場合の伸びしろの仮説を立てておけると、より良いでしょう。
サイト改善で起こりがちなのが、 サイト改善の運営体制に問題があり改善が進まないケースです。
どんなに優れたアイデアや提案も、実行に移すことが出来なければ絵に描いた餅です。
ホームページそのものだけでなく、サイト改善の実行体制もチェックし、見直すべき点があれば改善することが問題解決につながります。
以下の項目に当てはまる場合は、すぐに体制を見直すことをおすすめします。
とはいえ、実際見直ししようと思っても担当レベルではどうにもならないことも多いので、トップダウンで変える意識も欠かせないでしょう。
「はじめの3ステップ」を満たさないと、次のような失敗が起こりやすいです。
目的を決め、実行体制を整えたら、いよいよ具体的な改善をはじめます。
消費行動を図示することで、ホームページの役割を見極めて、役割に対して今のホームページの問題点・課題を明らかにします。
サイト改善においては、次に挙げる4つのポイントを意識します。
なお、これらのポイントはGoogleアナリティクスなどのアクセス解析で把握することができます。
ユーザがどこを経由してホームページを訪問しているのかを整理します。
流入経路として、GoogleやYahoo!、Bingの検索(SEO)、Googleマップ(ビジネスプロフィール)、インターネット広告、Instagram、Twitter、TikTok、LINE、メールマガジンなど。
もちろんオンラインだけでなく、オフラインの経路として、ダイレクトメールやチラシ、看板、友人の口コミなどもあります。
サイト改善で意識したいのが、ユーザの行動は「スマホやPCでブラウザを開いた瞬間からはじまっている」という点です。 情報検索をする時は、Google(Yahoo!)に検索ワードを入力する時点」から考えることが大切です。
ご相談を受けるクライアントさんにお話しをきくと、自社のトップページをブラウザで開き「どこを変えれば良いでしょうか?」といった議論になりがちです。
ちなみに、アクセス解析ツールを導入していない場合でも、「弊社を知ったキッカケは?」と顧客に直接聞いてみるのも、認知のキッカケを知る一つの方法です。
入口とは、ユーザが一番最初に訪問するページのことです。 「ランディングページ」とも呼ばれます。
ユーザが、2ページ目以降(ランディングページの次)に閲覧するページです。 「回遊ページ」とも呼ばれます。
ホームページにおける出口とは、問い合わせや資料請求のフォーム、特定ページの閲覧、電話番号のクリック、商品の購入など、 ホームページ の訪問者を導きたい「ゴール」のことを指します。
コンバージョンポイント(以下、CVポイント)とも呼ばれます。
CVポイントについてくわしくは「コンバージョンポイントの設計」もご覧ください。
購買プロセスをこまかく書き出すことによって、その中でホームページの果たす「役割」が整理されると思います。
ホームページをインターネットで見つけてもらうためには、GoogleやYahoo!などの検索エンジンにきちんと認識してもらうことが必要です。
そのために、まず徹底しておくべき基礎は、以下の7項目です。
会社名で検索(=指名検索)しても1ページ目に表示されない企業さんは、特に要チェックです。
(参考文献:SEO技術バイブル)
このような基本原則を満たさないページを作成してしまうと、Googleから不適切なページと判断されて検索結果に表示されず、いくら改善をくりかえしても効果を発揮できません。
いきなりサイトに手を付ける前に、これらのマイナスをゼロにする基礎をきちんと徹底することが大切です。
Googleの検索画面です。 分析ツールではありませんがユーザの検索意図を知るヒントの宝庫です。
奥が深いため、よりくわしく知りたい方は以下の専門用語についてインターネットなどで調べることをおすすめします。
Googleサーチコンソールは、自社のホームページが、Googleの検索結果においてどんなキーワードで検索され、平均何位で、何回表示されているか、といった分析ができるツールです。
Googleアナリティクスは、ホームページを訪問してくれたユーザがどのような端末で、どこから来て、どのページを見ているのか、といったアクセス状況を計測・分析できるツールです。
改善に役立てるためにも、「目標」設定を行うことをおすすめします。
Googleタグマネージャーは、Googleアナリティクスをはじめ、様々な計測タグや広告タグを一元管理できるツールです。 タグマネージャーを使用することで、Googleアナリティクスの設定、管理が楽になります。
Googleビジネスプロフィールは、 Googleの検索結果やGoogleマップに表示される店舗などの情報を編集・管理できるツールです。
管理画面の名称は「ビジネスプロフィールマネージャー」と呼ばれます。 「インサイト」機能で、自社が検索された件数、マップ経由でホームページ訪問につながった回数といった分析ができ、改善に役立つツールです。
PageSpeed Insightsは、ホームページの読み込み速度(パフォーマンス)を採点し、改善点を分析してくれるツールです。
表示が遅く、ユーザを長く待たせるホームページは、それだけで離脱の一因となります。
Googleが2018年に行った調査によると「サイトの表示までに3秒以上かかると40%以上のユーザが離脱」と言われています。
自社のホームページが低スコアの場合は、提示された改善方法を参考にサイトを改善します。
ここまで紹介したGooogleの各種ツールは無料で利用でき、どれも改善に欠かせません。 公式ヘルプを参照しながら、ぜひ活用しましょう。
自社内にくわしい人がいない場合は、設定、管理の知見豊富な制作会社を探して依頼することをおすすめします。
間違った方法で設定してしまうとデータがきちんと取れず、誤った方向性の分析・判断になりかねないためです。
サイト改善をサイトリニューアル(フルリニューアル)と比べた場合、次のような性質(特徴)があります。
見た目の変わった感が得られるフルリニューアルに手を出したくなりがちですが、地方の小さな会社さんの場合は特に、サイト改善の方が事業への費用対効果が高くなる傾向があります。
サイト改善に失敗しないためのマインドセット心は、以下の4つです。
ユーザの求めるコンテンツを用意する、そのために必要な改善を考える心構えが大切です。
サイト改善は、今あるプロダクトの魅力を効果的に届ける手段です。
ユーザに選ばれないような、魅力のない商品を凄そうに見せるテクニックではありません。
サイトの改善と同時に「商品(プロダクト)」も改善し続ける姿勢が大切です。
また、サイト改善ありきでアイデアを考えることもおすすめしません。
GoogleビジネスプロフィールやWeb広告など、そのほかの施策も念頭に置きつつ、自社の事業課題の解決に適した施策を見極めることが大切です。
ここがないと、いくら担当者が自主的に学び、良い提案をしてくれる外部パートナー(制作会社)を見つけても、成果につなげるのは難しいです。
ホームページをはじめ、ウェブへの投資に対する理解が経営レベルで浸透していない企業は特に、外部パートナーへ依頼する予算を渋りがちです。
かといって、社内にくわしい人がいないため、行き当たりばったりで担当者に丸投げしている、といった負のスパイラルに陥ってしまいます。
経営層が過度に関与することは賛成しませんが、丸投げも問題です。
ホームページの運用チーム・担当者に、一定の予算と意思決定の権限を持たせることが重要です。
また、ウェブ担当者レベルでできる現実的なことは「社内の味方を増やす」ことです。
御社の事業規模に応じて、経営層や商品・サービス開発、広報、人事など、「なぜサイト改善が必要なのか?」の疑問に答えることで、味方になってくれる仲間を増やすことが欠かせません。
ビジネスをする以上、時間やお金、人は有限です。 確かに、投資対効果を考えることは欠かせません。
とはいえ、投資対効果が見えないことを理由に「何もしない」という判断にいたる企業も多く見てきました。バランスが大切です。
「月○○万円までの予算については担当に一任、情報共有のみ上司に行う」といった仕組みにするなど、運用チーム・担当者が「まずやってみる」ができるように、動きやすい体制を作ることが大切です。
権限移譲が難しい場合は、意思決定権のあるメンバーが運用チームに加わるなど、「その場で決められるチーム」をつくります。
サイト改善をするなら、少ない労力で事業インパクトの大きい施策を選びたいと考えるかもしれません。
施策の優先順位で迷ったら、まずはサイトの出口(コンバージョン)に近いところに注力することをおすすめします。
インターネット広告など、いきなりコンバージョンから遠い認知拡大を目的とした施策に注力しないことです。
ホームページをバケツに、訪問数を蛇口から注ぐ水に例えると、バケツの穴をふさぐ施策を優先した方が良いでしょう。 穴の多いバケツ状態では、蛇口の水を増やしても、穴からほとんど漏れ出てしまいます。
ただし、そもそもの訪問数が少なすぎる場合は、サイトへの訪問者(流入)を増やす、すなわち、蛇口の水を増やす施策に力を注ぎます。
バケツの穴から漏れ出る水が少なすぎると、穴を見つけることが困難だからです。
新規事業の立ち上げなど、そもそもの認知が取れていないケースが該当します。
出口改善の代表例「フォーム改善」についてくわしくは、「お問い合わせフォームにありがちな5つの失敗と改善のコツ」も参考にしてみてください。
また、以下の優先順位を参考に、1~数か月でできる短期施策と1年以上かかる中長期施策を並行して取り組みます。
短期と中長期のどちらかに偏ると、目先の数字達成に追われて本質的な問題が解決しなかったり、なかなか成果が出なくて現場が途中で息切れしてしまったり、いずれにしてもプロジェクトが頓挫する確率が高まるためです。
特に改善プロジェクトの立ち上げて間もない時期は、短期的な成果を示して社内を説得することも大切です。 中長期のウェブに対するリソース(人・予算)を確保するためにも、短期と中長期のバランスを考えて改善に取り組みます。
改善の効果測定で見るべき指標は、実行する施策によって異なりますが、共通して確認すべきは以下3つの指標です。
訪問者を増やす段階はセッション数を、申込を獲得する段階は、問い合わせ数とCV数と問い合わせ率を特に重視します。
ただし、ホームページの良し悪しを一つの指標で評価することは非現実的で、複数の指標をみて総合的に判断することがのぞましいです。
ちなみに、問い合わせ率の目安は1~3%とされていますが、BtoBの場合、1%未満でも事業が成立するケースもあるので、ケースバイケースで判断します。
月間100セッションに満たないサイトでは統計的な傾向が把握しにくいため、(もちろん少ないデータで分析するアプローチもありますが)まずは月間500~1000セッション以上に増やす施策を優先した方が良いでしょう。
サイト改善を自社でやるべきか、外部パートナーを探して委託すべきか、迷うかもしれません。
これまでご支援した経験上ですが、短期的には制作会社などの力を借りて進めつつ、中長期的には自社主導でホームページの改善・運営を推進できるような仕組み・体制作りがベストプラクティス、との考えです。
もちろん最初からすべて自社でできればそれに越したことはありません。しかしながら、ウェブに対する専門的な知見と、現場経験を併せ持つ担当者がいない限り非現実的です。
たしかに集客テクニックなどは、(外部委託などで)直接的な費用をかけずとも、インターネットで調べて収集可能かもしれません。
ですが、初学者であれば相当な時間を奪います。
ネットを少しかじってできるほど簡単な話ではありません。
本業に割く時間がなくなってしまうでしょう。
専門家の力を借りないと、やみくもに施策を繰り返し、時間とお金を無駄にしてしまいがちです。
自社内で実践的なノウハウを積み上げたい企業こそ、仕組み・体制作りを支援してくれる外部パートナーの知見は欠かせません。
人、お金、時間のリソースが限られている小さな企業こそ、現状の自分たちでできること、できないことを先ず明確にして、できないことは投資対効果を考えてきちんと委託します。
徐々にできること(内製領域)を増やしていく進め方がのぞましいです。
この記事で解説したことは、これまで私が支援してきた現場での体験がベースにあるので、当てはまらない項目も多いかもしれません。
しかしながら、共通して活用できる方法もあると考えています。
ホームページのリニューアルの成功確率を高めるためには300万以上の予算が必要、との研究レポートもあるなか、ピンポイントで行うサイト改善は、やり方次第で、投資対効果が高く、地方の小さな企業の戦い方になりうるとの考えです。
また、精神論的な話はあまり好まれませんが「続ける気合」も大切と考えてます。
もちろんとにかく気合を、ではなく、適切な方法を見つけてやると決めたら、結果が出る前にやりきる、続ける姿勢という意味での「気合」です。
手当たり次第にホームページの改修をくりかえし、サイト改善に行き詰まりを感じている方のヒントになれば嬉しいです。
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